大規模修繕工事

マンションの足場工事とは?トラブルや対策、費用を下げるコツを解説

マンションの大規模修繕工事には欠かせない足場工事。外壁塗装や修繕など、主にマンションの外側に対する補修に必要な仮設の足場ですが、その設置には多大なコストがかかり、場合によっては大規模修繕工事費の20%ほどを占める場合もあります。

このため、修繕委員会の中には「足場の設置は必要なのだろうか?」と考える人もいるかもしれません。その他にも「足場を設置すると空き巣が怖い」という声もあるでしょう。

 

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この記事は以下のような方におすすめ
マンションの足場工事について詳しく知りたい
足場工事の費用を下げる方法ついて知りたい
足場設置による空き巣被害のリスクを抑えたい

本記事では、マンションの大規模修繕工事には欠かせない足場工事について専門家の立場からわかりやすく解説。足場工事を検討されている方はぜひご覧ください。

マンション大規模修繕工事に必要な足場工事とは?

初めにマンションの大規模修繕工事で実施されることの多い足場工事について、その役割や設置期間、工事の種類などについて解説をします。

足場工事の役割

マンションの大規模修繕工事で足場が組まれるのは、一般的な住宅に比べると建物の規模が大きいからと考えられることが多いです。もちろん足場を組まなければ修繕できる範囲が狭まるので、それも1つの理由です。しかし、その他にも足場工事を行う理由があります。

周辺地域への配慮

足場を設置することによって、周辺地域に対する影響を最低限に抑えることができます。足場があれば養生シートを張ることができるためです。

養生シートがあれば、外壁塗装時の塗料飛散・ネジなど資材や工具の落下が生じた際も歩行者や近隣の住宅に当たることはそうありません。このような理由から、足場工事を行うことにはメリットがあります。

作業効率の向上

また、足場工事を行うことによって高所での作業が簡単にできるようになります。足場が設置されていなければ作業がしづらく、修繕工事の期間が長くなる恐れもあるでしょう。

例え足場工事で費用が嵩んだとしても、工事の期間が短くなれば結果として工事費が安価になる可能性も考えられます。また、作業の質も高まり、納得のいく大規模修繕工事を行えるでしょう。

安全性の向上

先述の通り、マンションの大規模工事では高所での作業も少なくありません。作業員は常に危険と隣り合わせの環境で作業をしており、足場という安全な工事環境を作ることは望ましいことです。

足場設置の期間

足場工事の期間は、マンションの規模によっても左右されます。下記は規模ごとの期間例です。

  • 〜50戸:10〜20日間
  • 〜100戸:15〜30日間
  • それ以上:1ヶ月程度かかる可能性あり

足場設置だけでもマンションの規模によっては1ヶ月以上かかることもあります。大規模修繕工事全体のスケジュールにも関わってくるため、修繕委員会など計画に携わる管理組合員は念頭に入れておきましょう。

費用

大規模修繕工事の費用のうち2割を占めることもある足場工事ですが、どれくらいの工賃がかかってくるのでしょうか。国土交通省が発表した『マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によると、足場工事など仮設工事にかかる費用は19.2%が一般的であるとされています。

費用の計算式

さらに具体的な計算式を紹介します。

足場工事の費用 = 足場架面積 × 平米単価

足場架面積とは、足場を設置する面積のことです。この面積は以下のように求めます。

足場架面積 = マンションの高さ × (マンション外周 + 8m)

例えば、「高さ30m・外周102m」のマンションだった場合は、以下の計算式になります。

足場架面積 = 高さ30m × (外周102m + 8m) = 3,300㎡

平米単価とは、足場1㎡ごとの単価を指します。業者によって単価は異なりますが、相場は1㎡あたり1、800〜2,800円程度です。

平米単価が2,000円で、「高さ30m・外周102m」のマンションだった場合は、足場工事の費用が以下のように求められます。

足場工事の費用 = 3,300㎡ × 2,000円 = 660万円

先述の通り、足場工事の費用は大きくなりがちです。業者から工事費用の見積もりをもらったら、適切な計算になっているかどうか確かめましょう。

騒音や日当たりなどの問題

今後、足場工事を行うのであれば知っておきたいことがあります。それは、足場工事を実施した際の騒音問題や日当たりが悪くなることによって発生する近隣からの苦情です。

足場の設置にあたり、非常に大きな作業音が長時間鳴り続けます。これは住居者はもちろんのこと、近くに住む人たちにとってはストレスの原因になりかねません。また、足場に養生シートを張ることで日当たり・風通しなども悪くなりがちです。

クレームを極力抑えるためにも、工事の前に周知徹底を行うなど、できる限り対策はしていきましょう。

足場工事の種類

足場工事と一言で言っても、実に多くの種類があることをご存知でしょうか。こちらでは、主だった6つの足場工事について、それぞれの特徴をまとめていきます。

枠組足場

枠組足場は、おそらく皆様が最も目にする機会が多い仮設足場でしょう。この足場のメリットは、組み立てる工数自体が少なく、強度も高いという点です。ただし、設置にあたっては敷地に仮置きをしなければならないので広い敷地が必要で、比較的高額な足場設置になります。

単管ブラケット足場

単管ブラケット足場は、かみ合わせた鋼管をボルトで組み合わせていく仮設足場です。設置する場所に制約が少ないため、枠組み足場では対応できない狭い場所でも設置をすることができます。しかし、組み立ての工数が多いため設置までの時間がかかるという問題点があります。

クサビ緊結式足場

クサビ緊結式足場は、組み立てられたパイプに板の凹凸を噛み合わせる仮設足場です。柔軟に足場を組むことができるので、複雑な形状のマンションであっても対応することができます。一方、踏み板をパイプに噛み合わせるときにハンマーを使用するため、騒音が発生してしまいます。

吊り足場

吊り足場は、作業を行う踏み板を上から吊り下げるタイプの仮設足場です。足場を下から組み立てることが困難なタワーマンションなどに用いられます。ただし、足場が地面に設置されていないので不安定で、作業員の落下事故が生じやすいタイプの足場でもあります。

先行手すり

先行手すりとは、足場の設置・解体時に手摺りを先行して設置する工法です。最上階の足場であっても、常に外側が手すりで囲まれている状態で作業を行うことができるため、作業員が墜落するような危険性を抑えることができます。通常の足場設置と比べると作業工程が増えることになりますが、安全性を考えると設置することが賢明です。

移動式足場

移動式足場とは、小型の足場にキャスターがついており、移動させることができるものです。天井・壁などの仕上げを行う際に用いられ、小規模の作業であれば効率的に進めることができます。こちらの足場は小規模の修繕工事などでもよく使われています。

マンション大規模修繕工事における足場設置の流れ

ここまで足場の種類について6つを紹介してきました。次にマンション大規模修繕工事における足場設置の流れを見ていきましょう。

管理組合・周辺地域への周知

大規模修繕工事を行う前に管理組合はもちろんのこと、周辺地域への周知を実施しましょう。特に騒音の影響を受けると思われるエリアには挨拶回りなどを行い、少なからず影響が出る地域にはお知らせビラのポスティングを実施するのが有効です。

足場を設置することでバルコニーや駐車場が使用できなくなったり、塗料の飛散などが考えられる場合には、そういった生活への影響も通達しておきましょう。

足場工事の開始

管理組合・周辺地域への周知が完了したら、実際に足場工事を開始していきましょう。上述の通り、足場設置の期間はマンションの規模によって変わります。

  • 〜50戸:10〜20日間
  • 〜100戸:15〜30日間
  • それ以上:1ヶ月程度かかる可能性あり

期間についても、前段階の周知で伝えておくことをおすすめします。

養生シートの設置

足場工事が完了したら、設置された仮設足場に養生シートを設置していきます。

他にも起こりうる塗料飛散・資材落下など、工事のトラブルを最大限に減らせるように、どのような養生シートを使うべきか工事業者に相談しましょう。

大規模修繕工事の開始

養生シートが設置できたら、大規模修繕工事が開始できます。工事で起こりうる住民・周囲への影響には、できる限り事前に対策を打つようにしましょう。

足場解体

大規模修繕工事が完了したら、足場を解体していきます。この際も金属音などの騒音が生じやすいため、改めて住民・周辺地域に周知を行うと良いでしょう。

最終点検・清掃

足場の解体が終わったら、大規模修繕工事が計画通りに行われているかどうかの点検を行います。その後、不備がなければ清掃を行い、工事は終了です。

大規模修繕工事の足場工事の費用を下げる方法

ここまで見てきた通り、大規模修繕工事における足場工事は大掛かりなものとなります。このため全体の工賃の2割程度がかかってくるわけですが、工賃を下げる方法はなくもありません。本項では、足場設置の費用を下げる方法として4点を紹介します。

無足場工法

無足場工法とは、高所での作業をゴンドラやロープを使用して実施する方法です。建物の屋上から外壁を伝って修繕作業を行います。この場合、大掛かりな足場を設置する必要がないため設置の面で見ると費用は抑えられます。

ただし、足場での工事に比べると効率は低いです。このため、工事の期間が延びる可能性があります。工事業者と相談し、どちらの方が工事の質を保ちつつ、費用が下がるのかを確認しましょう。

相見積もりする

これは足場工事だけに限りませんが、工事業者にとって工賃は異なります。ある程度の相場があるとは言え、見積もりを比較することによって安価な業者を見つけることはできるでしょう。

ただし、大規模修繕工事はマンションの維持に重要な工事なので、「安かろう悪かろう」な業者に依頼することは避けたいところです。きちんと業者の実績なども確認しながら、安心して任せられる業者を探しましょう。

工事業者の選定は自ら行う

マンションの大規模修繕工事の際は、管理会社が紹介・斡旋する業者を選んでいるという方も少なくないのではないでしょうか。しかし、管理会社と工事業者が裏で繋がっており、高額な工事費用を取ってバックマージンで管理会社が不当な利益を得ていることも実はあります。

この場合、工事の質に見合わない高額な工事費を管理組合側が負担しなければなりません。そういった自体を避けるためにも、修繕委員会や理事会など中心メンバー自らが工事業者を選定する姿勢が大切です。

足場工事中の空き巣対策

マンションの大規模修繕工事に足場の設置は欠かすことができません。しかし、足場があることにより死角が生まれ、バルコニーなどから空き巣が侵入するという被害も見られます。足場設置に際して防犯対策を何も行っていなければ、修繕委員会や理事会が責任を追求されることもあるのです。

本項では防犯対策として最低限行いたい2点を紹介します。

防犯対策を住民に呼びかける

まずは住居者自身が戸締りなどの防犯対策を意識的に行うように呼びかけましょう。防犯意識を啓発するようなチラシをポスティングしてもいいですし、修繕工事の説明会などでも重ねて周知を徹底しても良いでしょう。

業者に防犯対策を行ってもらう

空き巣が足場からバルコニーへ侵入する際、多くの場合は「足場の入り口か隙間から侵入」しています。このため、侵入ができそうな部分に関しては養生金網で囲ってもらうことや、足場の入り口はオートロックドアにしてもらうことなどが対策として考えられるでしょう。

他にも、修繕工事の期間は住居者以外の施設への出入りが多くなるので、業者には特定のゼッケンをつけてもらうことなども有効です。

まとめ

本記事では、マンションの大規模修繕工事に欠かせない足場工事について解説しました。足場の設置に際しては様々なトラブルが想定されますので、事前の対策が重要です。

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