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長期修繕計画をエクセルだけで管理すると起きやすいこと 理事会で見えにくくなるポイント
こんにちは。MRCの平松です。
管理組合の方とお話ししていると、長期修繕計画の資料として、エクセルを使って管理しているケースはかなり多いです。
数字を直しやすい。
表として見やすい。
必要に応じて追記もできる。
理事会でも扱いやすそうに見える。
実際、エクセルには便利な面があります。
私たちも、計画や比較表を整理する場面では、エクセルが役立つことは多いと感じます。
ただ一方で、長期修繕計画をエクセルだけで管理していると、理事会の中で少しずつ見えにくくなることがあります。
たとえば、
前回の工事履歴とつながらない。
なぜその数字になっているのかが分かりにくい。
更新した人しか前提を把握していない。
理事が替わると、ファイルだけ残っていても流れが追いにくい。
こういう状態です。
エクセルが悪いという話ではありません。
ただ、長期修繕計画は数字の表だけで完結するものではないので、表として持っていることと、理事会で使いやすいことが少しずれてくることがあります。
今回は、長期修繕計画をエクセルだけで管理していると、理事会でどんなことが起こりやすいのかを整理してみたいと思います。
エクセルは便利だけれど、計画の全体像までは持ちにくい
エクセルの良さは、やはり数字を扱いやすいことだと思います。
工事項目ごとの金額。
実施予定年。
積立金の推移。
将来収支の試算。
こうしたものを表として並べるにはかなり向いています。
ただ、長期修繕計画を実際に理事会で使うときに必要なのは、数字だけではありません。
前回どこまで工事したのか。
今回の見直しでどこを変えたのか。
設備更新はどの程度織り込んでいるのか。
なぜその年にその工事を置いているのか。
こうした背景まで一緒に見えないと、表だけでは少し判断しにくくなります。
つまり、エクセルは数字を整理するには強いのですが、長期修繕計画の全体像まで自然に見せてくれるわけではない、というところがあります。
数字は並んでいても、理由が見えにくい
理事会でよくあるのは、表の中に数字はあるのに、その意味がつかみにくい状態です。
たとえば、
なぜこの工事項目がこの年に入っているのか。
なぜこの金額なのか。
前回計画から何が変わったのか。
今の建物状態とどうつながるのか。
こうしたことが、エクセルの表だけでは分かりにくいことがあります。
もちろん、コメント欄をつけたり、別シートで説明を足したりすることはできます。
ただ、そうすると今度はファイルの中に情報が分散し始めます。
メインの表。
注記。
別シートの説明。
比較用の別ファイル。
この形になると、数字はあるけれど、理事会の中で話したいことが一度で見えにくくなります。
前回工事とのつながりが切れやすい
長期修繕計画を考えるうえで、前回工事の履歴はかなり大事です。
外壁は前回どこまでやったのか。
防水は更新だったのか補修だったのか。
シーリングは打ち替えだったのか。
設備はどこまで更新済みなのか。
こうしたことが見えていると、今後の計画も考えやすくなります。
でも、エクセルで今後の予定表だけを持っていると、過去の履歴は別ファイル、報告書は別資料、写真は別フォルダという形になりやすいです。
すると理事会では、
この数字は前回工事を踏まえたものなのか。
それとも新しく入れた項目なのか。
そこがつかみにくくなります。
表としては整っていても、過去とのつながりが見えないと、理事会では毎回少し戻って確認する流れになりやすいです。
更新した人しか分からない状態になりやすい
エクセル管理で起こりやすいのが、更新した人だけが前提を知っている状態です。
たとえば、
この工事項目は今回は見送った。
この金額は参考見積をもとに調整した。
この年次は設備更新を考えて少し前倒しした。
そういう判断をした人には自然でも、あとから見る理事にはそこが見えません。
ファイルだけ見れば数字は入っています。
でも、どう考えてその数字になったのかは、意外と残りにくいです。
すると、理事会の中でも
「これはどういう前提でしたっけ」
が増えやすくなります。
そして、その説明ができるのが一人だけ、という形になると、資料は共有されていても理解は共有されていない状態になりやすいです。
理事交代のときに急に重たくなる
長期修繕計画は、一年で終わる話ではありません。
だからこそ、理事交代の影響をかなり受けます。
今の理事会では自然に分かっていることでも、次の理事会にとっては前提がありません。
しかもエクセル管理だと、数字の表は残っていても、そこに至る流れまでは見えにくいことがあります。
その結果、新しい理事会では、
どこまで見直し済みなのか。
どの数字が今の基準なのか。
前回の理事会が何を論点にしていたのか。
こうしたことの確認から始まりやすくなります。
エクセルは引き継ぎ資料として使えないわけではありません。
ただ、数字を受け渡すことはできても、判断の流れまでは渡しにくい。そこが難しいところです。
住民説明用に作り直す手間が大きくなりやすい
エクセルの表は、理事会の中では便利です。
でも、そのまま住民説明に使いやすいとは限りません。
住民の皆さんが知りたいのは、
今どんな状態なのか。
なぜこの工事が必要なのか。
この先どんな支出が見えているのか。
積立金との関係はどうなのか。
こうした流れです。
一方、エクセルの表はどうしても数字中心になります。
そのため、住民説明では別に資料を作り直すことが多くなります。
図に直す。
要点を抜き出す。
写真を足す。
説明文を加える。
この作業が毎回発生すると、理事会としてもかなり負担が大きくなります。
将来収支の話が“表を読む作業”になりやすい
修繕積立金の見通しや将来収支を考えるとき、エクセルは計算には向いています。
ただ、理事会で話し合う資料としては、少し重たくなることがあります。
というのも、理事会で知りたいのは計算式そのものではなく、
どの年が厳しくなりそうか。
どこで大きな支出が重なるのか。
今の積立水準で足りるのか。
設備更新まで入れるとどうなるのか。
という流れだからです。
表のままだと、数字を追うことはできます。
でも、全体の流れとして頭に入りにくいことがあります。
その結果、理事会の中でも
「表はあるけれど、結局どう見ればいいのか」
という感じが出やすくなります。
エクセルが悪いのではなく、役割に限界がある
ここは誤解のないように言いたいところです。
エクセルは悪いものではありません。
むしろ、数字を整理したり、比較表を作ったり、試算をしたりするにはかなり便利です。
ただ、長期修繕計画を理事会で使い続ける資料として考えると、エクセルだけでは少し足りない場面が出てきます。
長期修繕計画は、
数字
履歴
建物状態
判断の経緯
住民説明
がつながって初めて動きやすくなります。
エクセルはその中の「数字」には強いです。
でも、それ以外の部分まで自然に見える形にするには、別の工夫が必要になります。
こういう管理組合ほど限界を感じやすい
特に、エクセルだけでの管理が少し苦しくなりやすいのは、たとえば次のような管理組合です。
理事が輪番で入れ替わる
前回工事から年数がたっている
設備更新まで視野に入ってきている
長期修繕計画を何度か見直している
住民説明で資料を毎回作り直している
理事会の中で理解の差が大きくなりやすい
こういう状況では、表として持つことより、つながって見えることの方が大きくなります。
よくある質問(Q&A)
長期修繕計画をエクセルで管理するのは良くないのですか?
そんなことはありません。
数字を整理したり試算したりするには、とても便利です。
ただ、理事会で使い続けるには、履歴や判断の流れまで見える工夫が必要になりやすいです。
何が一番見えにくくなりやすいですか?
前回工事とのつながりと、数字の理由です。
表の中に数字はあっても、なぜそうなっているのかが伝わりにくいことがあります。
エクセルだけで足りなくなるのはどんなときですか?
理事交代があるとき、住民説明が必要なとき、設備更新まで含めた将来の話をするときは、特に足りなさを感じやすくなります。
まとめ
長期修繕計画をエクセルだけで管理していると、数字は整理しやすくても、理事会で必要な全体像は見えにくくなりやすいです。
前回工事とのつながり。
今の建物状態との関係。
判断の理由。
将来収支の流れ。
住民説明に使える形。
こうしたものが表だけでは見えにくいと、理事会は毎回少し戻りながら話すことになります。
エクセルは便利です。
ただ、長期修繕計画は数字だけで動くものではありません。
だからこそ、表として持つことに加えて、理事会で見やすく、つながって使える形にしていくことが大事になってきます。
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