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大規模修繕の相見積もりは何社必要?管理組合が迷いやすいポイント
こんにちは。MRCの平松です。
大規模修繕の話が少し具体的になってくると、理事会でかなり高い確率で出てくるのが
「相見積もりは何社くらい取ればいいのですか?」
という質問です。
これも、とても自然な疑問だと思います。
1社だけでは不安。
でも、たくさん取りすぎると理事会で見きれない気もする。
比較したい気持ちはあるけれど、何社くらいが現実的なのか分からない。
そういう迷い方をしやすいテーマです。
しかも大規模修繕の見積は、金額だけ並べれば済むものではありません。
工事範囲、仕様、数量、保証の考え方なども絡んできます。
そのため、相見積もりの話は単に「何社集めるか」ではなく、どう比較できる状態をつくるかという話でもあります。
今回は、大規模修繕の相見積もりは何社必要と考えればよいのか、理事会でどこが迷いやすいのか、どう整理すると進めやすいのかをまとめてみたいと思います。
相見積もりは多ければ安心とは限らない
相見積もりという言葉を聞くと、たくさん取った方が安心に見えることがあります。
たしかに、1社だけでは比較になりません。
理事会としても、他社と比べてどうなのかは見たいところです。
その意味で、複数社から見積を取ることには大きな意味があります。
ただ、だからといって社数が多ければ多いほどよいかというと、そこは少し違います。
5社、6社と集めれば情報量は増えます。
でも、その分だけ比較の手間も増えます。
しかも、前提条件がそろっていない見積が混ざると、社数が多いわりに判断しにくい状態になりやすいです。
理事会で本当に必要なのは、見積の枚数ではなく、比べられる状態です。
ここを外すと、たくさん集めたのに結局よく分からない、ということが起こりやすくなります。
まず大事なのは「同じ条件で比べられるか」
相見積もりの話になると、つい社数に意識が向きます。
ただ、実際にはその前にもっと大事なことがあります。
それが、同じ条件で比べられるかどうかです。
たとえば、
工事範囲が違う
補修数量の考え方が違う
使う材料の水準が違う
防水やシーリングの仕様が違う
仮設工事の考え方が違う
こういう見積を並べても、理事会としてはかなり判断しにくいです。
金額差が出ていても、それが本当に高い安いの差なのか、単に前提条件の差なのかが分からないからです。
相見積もりでまず考えたいのは、何社かより前に、比較の土台をそろえられているかどうかです。
1社では比較にならないが、多すぎても見きれない
では何社くらいが現実的かというと、管理組合の実務としては、やはり2社や3社がひとつの目安になりやすいです。
1社だけでは、比較の軸がありません。
「この金額は妥当なのか」「この仕様が一般的なのか」が見えにくくなります。
一方で、4社、5社と増えていくと、比較の手間がかなり大きくなります。
しかも、理事会は見積比較だけをしているわけではありません。
日常管理の議題もありますし、住民説明や将来の計画も考える必要があります。
そう考えると、理事会として現実的に見やすいのは、まず2社から3社くらいでしっかり比較する形です。
もちろん状況によって増えることはありますが、最初から数を集めすぎると、かえって整理しにくくなることがあります。
社数より、比較の質の方が大きい
理事会で相見積もりを取る理由は、単に「たくさん集めること」ではないはずです。
本来は、
金額にどのくらい差があるのか
どの項目に差が出ているのか
仕様の考え方に違いがあるのか
各社の説明は分かりやすいか
こうしたことを見るためです。
つまり、比較の質が大事です。
たとえば3社でも、
同じ前提で見積が出ている
比較表が整理されている
理事会で差が見える
説明の流れまで分かる
という状態なら、かなり判断しやすいです。
逆に5社あっても、前提がばらばらなら、比較しているようで比較になっていないことがあります。
安い会社を探すためだけの相見積もりになりやすい
相見積もりの話で気をつけたいのは、「一番安い会社を探すための作業」になってしまうことです。
もちろん、金額を見ることは大切です。
管理組合として予算や積立金を無視するわけにはいきません。
ただ、大規模修繕では、
どこまで工事するのか
どういう仕様なのか
補修の考え方はどうか
住民対応はどうか
といったことも見ないと、金額だけでは判断しきれません。
極端に安い見積があったとしても、工事範囲や数量の考え方が違えば、そのまま比較するのは危ういです。
相見積もりは、値引き競争をさせるためというより、管理組合として納得できる比較材料を持つためにあると考えた方が整理しやすいです。
見積が増えるほど理事会の負担も増える
相見積もりを増やせば情報は増えます。
ただ、その分だけ理事会の負担も増えます。
見積書を読む。
比較表をつくる。
違いを確認する。
分からない項目を質問する。
住民説明の言い方を考える。
これらはすべて理事会に返ってきます。
とくに、大規模修繕の見積は項目数が多いです。
外壁、防水、シーリング、鉄部、仮設工事、共用部、場合によっては設備まで入ってきます。
社数が増えると、その確認作業だけでもかなり重たくなります。
理事会としては、比較したい気持ちと、見きれる範囲のバランスを考える必要があります。
施工会社ごとの差だけでなく、提案の考え方も見たい
相見積もりでは、どうしても総額に目が向きます。
でも実際には、各社がどういう考え方で見積を組んでいるのかを見ることもかなり大事です。
たとえば、
補修を厚めに見ている会社
今回は最低限に絞っている会社
将来の更新も少し意識している会社
住民対応を丁寧に考えている会社
こうした違いが出ることがあります。
ここを見ると、単に「高い・安い」ではなく、各社が建物をどう見ているかが少し見えてきます。
理事会としても、その違いが見えると比較しやすくなります。
相見積もりを取る前に仕様整理が必要なこともある
相見積もりがうまく機能しない理由の一つが、仕様が曖昧なまま見積を取ってしまうことです。
どこまで補修するのか。
防水をどう考えるのか。
シーリングは全面打ち替えなのか。
共用部をどこまで入れるのか。
ここがぼんやりしていると、各社がそれぞれ違う考え方で見積を出してきます。
そうなると、社数を増やしても比較は難しくなります。
理事会としては、見積を取る前に、少なくとも今回の工事の基本的な考え方を少し整理しておく方が進めやすいです。
住民説明まで見えると、比較の仕方も変わる
相見積もりは理事会の中だけで終わる話ではありません。
最終的には、住民の皆さんに説明する場面も見えてきます。
そのときに、
なぜこの会社を候補にしたのか
何社をどう比較したのか
何が違ったのか
なぜこの判断になったのか
が整理されていないと、説明が弱くなります。
だからこそ、理事会としては、相見積もりを「数字を集める作業」にしない方がいいです。
住民説明につながる比較になっているかどうかも、かなり大事です。
こういう管理組合ほど社数で迷いやすい
特に、相見積もりの社数で迷いやすいのは次のような管理組合です。
大規模修繕が初めてに近い
理事の任期が短い
見積比較の経験が少ない
仕様の整理がまだ弱い
住民説明を丁寧にしたい
管理会社以外の情報が少ない
こういう状況では、「何社必要か」という問いが先に立ちやすいです。
でも実際には、社数そのものより、比較の前提をどうそろえるかを考えた方が進めやすくなります。
よくある質問(Q&A)
大規模修繕の相見積もりは何社くらい取るのが一般的ですか?
管理組合の実務としては、2社から3社くらいが比較しやすいことが多いです。
ただし、大事なのは社数より、同じ条件で比べられる状態になっていることです。
4社、5社と増やした方が安心ですか?
必ずしもそうではありません。
情報は増えますが、その分だけ理事会の比較負担も増えます。
前提条件がそろっていないと、数が多くても判断しにくいことがあります。
一番安い会社を選ぶために相見積もりを取るのですか?
それだけではありません。
金額差だけでなく、工事範囲、仕様、補修数量、提案の考え方まで含めて比較するために取るものと考えた方が整理しやすいです。
まとめ
大規模修繕の相見積もりは、1社では比較しにくいですが、多ければ安心というものでもありません。
理事会として現実的に見やすいのは、まず2社から3社をしっかり比較できる状態にすることです。
大事なのは、社数より比較の質です。
同じ条件で比べられるか。
工事範囲や仕様の違いが見えるか。
住民説明まで含めて整理しやすいか。
そこが見えていると、相見積もりはかなり意味のある材料になります。
相見積もりは、安い会社を探すためだけの作業ではありません。
管理組合として納得できる判断をするための土台です。
だからこそ、何社集めるかより、どう比べるかを先に考えることが大切です。
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