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大規模修繕で追加工事はなぜ起きる?管理組合が事前に知っておきたいこと
こんにちは。MRCの平松です。
管理組合の方とお話ししていると、大規模修繕の話が進んできた段階で、かなり気にされやすいのが
「追加工事ってよくあるんですか?」
という質問です。
これもとても自然な疑問だと思います。
最初に予算を組んで、見積を取って、理事会でも整理して、住民の皆さんにも説明している。
それなのに工事が始まってから追加工事の話が出てくると、どうしても
「最初の見積は何だったのか」
という気持ちになりやすいです。
理事会としても、できれば途中で話を増やしたくありません。
予算のこともありますし、住民説明のやり直しが必要になることもあります。
だからこそ、追加工事という言葉が出ると、少し身構えやすいです。
ただ実際には、追加工事が出ること自体が、すぐにおかしいというわけではありません。
大規模修繕は、工事を始めてから初めて見えやすくなる部分もあるからです。
今回は、大規模修繕で追加工事はなぜ起きるのか、どういうときに出やすいのか、管理組合として事前にどこを知っておくと慌てにくいのかをまとめてみたいと思います。
追加工事は「急に増やしたい工事」とは限らない
追加工事という言葉を聞くと、どうしても
「最初になかったものを後から足す」
という印象になりやすいです。
もちろん、そういうケースがまったくないわけではありません。
ただ、実際には
「工事を進める中で、想定していたより傷みが見えた」
「当初の数量では足りないことが分かった」
という形で出てくることが多いです。
つまり、気分で工事を増やしているのではなく、建物の状態を見ていく中で必要性が具体化することがある、ということです。
この違いはかなり大きいです。
追加工事という言葉だけで受け取ると不安になりやすいですが、背景まで見ると少し印象が変わります。
工事前の調査だけでは見えないことがある
追加工事が出やすい一番大きな理由は、工事前の調査だけでは把握しきれない部分があることです。
もちろん、事前調査は大切です。
建物診断もしますし、図面や過去資料も確認します。
ただ、それでも実際に足場を組んで近くで見たり、仕上げ材をめくったりして、初めて分かることがあります。
たとえば、
表面上は軽く見えていたひび割れの奥まで傷みが進んでいた
タイルの浮きが想定より広がっていた
防水の下地に想定以上の傷みがあった
シーリングの劣化が目視以上に進んでいた
こういうことです。
大規模修繕は、建物の表面を遠くから見るだけでは決めきれない部分があります。
だからこそ、工事に入ってから見えてくる課題が出ることがあります。
外壁補修は追加が出やすい代表例
追加工事の話で、かなり出やすいのが外壁補修です。
外壁は、事前調査の段階である程度の補修数量を想定します。
ただ、実際に足場を組んで細かく見ていくと、当初の想定より補修が必要な箇所が増えることがあります。
これは珍しいことではありません。
外から見たときには分かりにくかった傷み。
打診して初めて分かる浮き。
仕上げの下に隠れていた不具合。
こうしたものが出てくると、補修数量は動きやすいです。
そのため、外壁補修は最初の見積と工事中の数量が完全に一致しないことがあります。
理事会としては、この項目は少し幅を持って見る必要があることを知っておくと、途中で慌てにくくなります。
防水や下地の傷みも後から見えやすい
追加工事が出やすいのは外壁だけではありません。
防水工事でも、下地の状態によって話が変わることがあります。
たとえば、
既存防水の下に傷みが広がっていた
下地の不陸が想定より大きかった
排水まわりの処理を追加した方がよい状態だった
ということがあります。
防水は仕上がっているときれいに見えることもありますが、実際に工事に入ると見えてくる課題があります。
ここを理事会が事前に知らないと、追加工事の話が出たときに
「急に増えた」
という印象になりやすいです。
仕様の整理が弱いと、追加に見えやすくなることがある
追加工事は、建物の傷みだけが原因とは限りません。
最初の仕様整理が少し曖昧だと、本来は整理しておくべき内容が後から追加のように見えることもあります。
たとえば、
どこまで補修範囲に入れるかが曖昧だった
シーリングを全面で見るのか一部で見るのか決めきれていなかった
共用部のどこまでを対象にするかが整理できていなかった
設備まわりを今回に入れるか先送りするか曖昧だった
こういう状態だと、途中で必要な項目が出てきたときに
「追加工事」
として見えやすくなります。
でも実際には、工事中に新しく思いついたのではなく、最初の整理が足りなかっただけ、ということもあります。
だからこそ、追加工事を減らすには、最初の仕様整理もかなり大事です。
住民要望が途中で入ってくることもある
大規模修繕では、工事が始まってから住民の皆さんの関心が急に高まることがあります。
足場がかかる。
工事の掲示が出る。
現場の雰囲気が見える。
そうすると、それまで表に出ていなかった要望が出てくることがあります。
たとえば、
この共用部も直したい
この場所も一緒にきれいにしてほしい
せっかくならここも見てほしい
といった声です。
これらはすべて聞く価値のある意見ですが、全部をそのまま追加すると、工事費は動きやすくなります。
そのため理事会としては、住民要望を
今回入れるもの
次回の課題として残すもの
今は見送るもの
に分けて考える必要があります。
追加工事が悪いのではなく、説明がないと不安になる
ここはかなり大事です。
追加工事が出ること自体を、すぐに悪いことと決めつける必要はありません。
工事を進める中で、建物の状態を踏まえて必要になることはあります。
ただ、管理組合として苦しくなりやすいのは、
「なぜ追加になるのか」
が分からないまま話が進むときです。
どの部位で。
何が見えて。
なぜ当初想定では足りなかったのか。
やらないとどうなるのか。
金額はどのくらい動くのか。
ここが見えていないと、理事会も住民の皆さんも不安になりやすいです。
つまり、追加工事で一番大切なのは、工事の有無そのものより、理由が整理されていることだと思います。
理事会で見たいのは「必要性」と「影響」
追加工事の話が出たとき、理事会としてまず見たいのは二つです。
一つは、その工事の必要性です。
本当に今やるべき内容なのか。
後回しにするとどうなるのか。
安全面や防水性にどの程度関わるのか。
もう一つは、その追加が全体に与える影響です。
予算にどのくらい響くのか。
工期は延びるのか。
住民説明が必要なレベルなのか。
ほかの項目との優先順位はどうか。
この二つを分けて見ないと、理事会では少し整理しにくくなります。
必要だからすぐやる、ではなく、必要性と影響の両方を見ることが大切です。
追加工事をゼロにするより、想定しておく方が現実的
理事会としては、追加工事はできれば避けたいです。
それは当然です。
ただ、大規模修繕の性質を考えると、追加工事を完全にゼロにすることだけを目指すのは現実的ではないこともあります。
特に外壁補修や下地補修のように、工事を進めながら状態が見えてくる項目ではなおさらです。
そのため、考え方としては
「絶対に追加を出さない」
より、
「追加が出やすい項目はどこか」
「出たときにどう判断するか」
を事前に持っておく方が実務的です。
ここが見えていると、途中で話が出ても理事会はかなり整理しやすくなります。
住民説明でも先に触れておくと違う
追加工事の話は、住民の皆さんにとっても気になりやすいところです。
そのため、住民説明の場でも、最初から少し触れておくと受け止め方が変わります。
たとえば、
外壁補修などは工事中に数量が動くことがある
建物の状態によって追加が必要になることがある
その場合は理事会で整理しながら進める
こうしたことを先に共有しておくだけでも、工事中に突然聞くよりずっと受け止めやすくなります。
もちろん、不安をあおる必要はありません。
ただ、起こりうることとして少し触れておく方が、あとで説明しやすいです。
よくある質問(Q&A)
大規模修繕で追加工事はよくあるのですか?
起こることはあります。
特に外壁補修や下地補修のように、工事中に詳しく状態が分かる項目では出やすいことがあります。
追加工事が出たら、最初の見積が間違っていたのですか?
必ずしもそうではありません。
事前調査だけでは見えない傷みが、足場設置後や工事中に分かることがあります。
ただし、最初の仕様整理が弱いと追加に見えやすくなることもあります。
理事会は何を確認すればいいですか?
その追加工事が本当に必要か、やらない場合どうなるか、予算や工期にどのくらい影響するか、この3つを整理して見ると話しやすくなります。
まとめ
大規模修繕で追加工事が出るのは、工事前の調査だけでは見えない傷みがあったり、補修数量が工事中に動いたりするからです。
特に外壁補修や防水の下地などは、工事を進める中で初めて見えてくることがあります。
そのため、追加工事が出ること自体をすぐにおかしいと考えるより、
なぜ必要なのか
どのくらい影響があるのか
理事会としてどう判断するのか
を整理できる方が大切です。
大規模修繕は、最初に決めた内容だけで最後まで一切動かない工事とは限りません。
だからこそ、追加工事をゼロにすることだけを目指すより、出たときに慌てない準備をしておく方が、管理組合としてはかなり進めやすくなります。
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