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大規模修繕の色決めはどう進める?管理組合が迷いやすいポイント
こんにちは。MRCの平松です。
大規模修繕の話が進んでくると、理事会の中で少し空気が変わる場面があります。
それが、色の話です。
工事範囲や見積比較、施工会社の選定までは、どちらかというと機能や金額の話が中心です。
ところが、外壁や共用部の色をどうするかという話になると、急に意見が分かれやすくなります。
今までと同じでよいのでは。
せっかくなら少し印象を変えたい。
汚れが目立ちにくい方がいい。
でも、あまり大きく変えるのは不安。
こうした考え方が自然に出てきます。
色の話は、建物の安全性とは違って正解が一つではありません。
そのため、理事会の中でも
「何を基準に決めればいいのか分かりにくい」
と感じやすいです。
しかも、色決めは見た目の話だけで終わりません。
住民の印象、資産価値の見え方、汚れの目立ち方、周辺環境とのなじみ方、住民説明の進めやすさにも関わってきます。
今回は、大規模修繕の色決めはどう進めると整理しやすいのか、管理組合がどこで迷いやすいのか、理事会で先に見ておきたいポイントをまとめてみたいと思います。
色決めは最後の仕上げではなく、意外と大事なテーマ
色決めというと、工事の本体がほぼ固まったあとに出てくる「仕上げ」の話に見えることがあります。
もちろん、工事範囲や仕様の方が先に大事です。
ただ、色は住民の皆さんにとってかなり分かりやすい変化です。
工事の中身は見えにくくても、色の変化は一目で分かります。
だからこそ、関心も高くなりやすいです。
理事会としても、建物診断や防水仕様の話は専門家に寄せて整理しやすい一方で、色の話は管理組合自身が考えなければいけない部分が大きいです。
その意味で、色決めは見た目の話でありながら、かなり管理組合らしいテーマでもあります。
まず多いのは「今と同じでいいのでは」という考え方
色決めで最初に出やすいのは、今と同じで進めた方が無難ではないか、という考え方です。
これはとても自然です。
大きく変えると住民説明も必要になりますし、仕上がりの印象が想像しにくい不安もあります。
周辺の景観とのバランスもありますし、今の建物に大きな不満があるわけではない場合も多いです。
そのため、理事会として
「大きく変えない方が安全では」
と感じるのは当然だと思います。
実際、今の印象を大きく崩さず、少し整える方向で進めるのはかなり現実的です。
色決めで無理に個性を出す必要はありません。
むしろ、住民の皆さんが受け入れやすいことの方が大切な場面も多いです。
ただし「今と同じ」が一番簡単とは限らない
一方で、今と同じで進めるのが必ずしも一番簡単とは限りません。
なぜかというと、今の色も長年の汚れや退色が重なって見えていることがあるからです。
住民の皆さんが見慣れている色と、施工直後の色味には少し差が出ることがあります。
また、以前の仕上げ材や塗料と、今回使う材料で見え方が変わることもあります。
そのため、理事会の中で
「今と同じにしたはずなのに、思ったより明るい」
「以前より少し印象が違う」
と感じることもあります。
つまり、色決めでは
今と同じにする
という言葉だけで安心せず、実際にどう見えるかまで確認した方が話しやすいです。
色の話は好みだけで決めると揉めやすい
理事会で色決めが少し難しくなりやすいのは、どうしても好みの話が入りやすいからです。
明るい方がよい。
落ち着いた方がよい。
温かみがある方がよい。
高級感がある方がよい。
どれも間違いではありません。
でも、好みだけで話し始めると、基準が見えにくくなります。
しかも色は、理事一人ひとりが毎日見ているものなので、意見も出やすいです。
これは悪いことではありませんが、整理の軸がないまま話すと、どうしてもまとまりにくくなります。
だからこそ、理事会では
「好き嫌い」
より先に
「何を大事にして色を決めるのか」
を少し整理しておくと進めやすくなります。
色決めで見たい軸は意外といくつかある
色を決めるときは、単純にきれいかどうかだけではなく、いくつかの軸で見ると整理しやすいです。
たとえば、
今の建物イメージをどこまで残したいか
汚れの目立ちにくさをどう考えるか
周辺環境となじむか
住民の受け止めやすさはどうか
資産価値の印象として違和感がないか
このあたりです。
理事会の中でも、こうした軸が見えていると
「この案がいい・悪い」
ではなく
「今回の考え方には合っているか」
という話にしやすくなります。
汚れが目立ちにくい色はよく話題になる
色決めでかなりよく出るのが、汚れの目立ちにくさです。
これはかなり現実的な視点です。
外壁や共用部は、見た目だけでなく、その後の印象にも関わります。
せっかく修繕をしても、すぐに汚れが気になりやすい色だと、住民の皆さんの満足感も下がりやすいです。
そのため、理事会としては
明るさ
濃さ
汚れの付き方
周辺環境との相性
まで少し意識して見た方がよいです。
ただし、汚れが目立たないことだけを重視すると、全体が重たく見えすぎることもあります。
ここは見た目とのバランスです。
周辺環境とのなじみも意外と大きい
マンションの色は、その建物だけで見ればよいわけではありません。
周辺の街並みや隣接建物との関係もあります。
たとえば、
住宅街の中で浮かないか
落ち着いた街並みに合っているか
周辺より強すぎる印象にならないか
逆に古びて見えすぎないか
こうした見え方です。
理事会の中では建物単体で考えがちですが、外から見た印象は周辺との関係の中で決まります。
そのため、色決めでは現地で周囲も含めて見ておく方が整理しやすいです。
共用部の色は使い勝手や明るさにも関わる
色決めというと、外壁に意識が向きやすいです。
ただ、住民の皆さんが毎日近くで感じるのは共用部の方だったりします。
共用廊下
階段
エントランスまわり
メールコーナー
こうした場所は、色の違いで印象がかなり変わります。
明るく感じるか。
清潔感があるか。
少し古く見えるか。
落ち着いて見えるか。
このあたりは住民の体感にかなり影響します。
外観だけでなく、共用部の色も一緒に考えると、工事後の満足感は変わりやすいです。
理事会で色決めを進めるときの整理表
理事会で共有しやすいように、色決めで見たいポイントを表にするとこんな形です。
| 見るポイント | 理事会で確認したいこと | 住民説明で触れやすいこと |
|---|---|---|
| 今の印象との連続性 | 今の建物イメージをどこまで残すか | 大きく変えるのか、整える程度なのか |
| 汚れの目立ちにくさ | 明るさ、濃さ、汚れの出やすさ | 長く見たときの印象 |
| 周辺との調和 | 街並み、隣接建物との関係 | 建物が浮かないか |
| 共用部の明るさ | 廊下や階段が暗くならないか | 毎日の使いやすさ |
| 住民の受け止めやすさ | 大きな違和感がないか | 変化の理由を説明しやすいか |
こういう表で見ると、色決めは単なる感覚の話ではなく、理事会で整理できるテーマにしやすくなります。
サンプルだけでは分かりにくいことがある
色決めでかなり難しいのが、小さなサンプルで見た印象と、建物全体で見た印象が違うことです。
小さい色見本では落ち着いて見えても、面積が大きくなると明るく感じることがあります。
逆に、サンプルでは少し濃く見えても、実際にはちょうどよく見えることもあります。
そのため、理事会では
サンプルの印象だけで決めすぎない
ことも大切です。
できれば、もう少し大きめの見本で見たり、建物に当てて雰囲気を見たりしながら整理できると進めやすいです。
住民アンケートを取るなら、聞き方に注意したい
色決めで住民の声を聞きたいという話も出やすいです。
たしかに、住民の皆さんの感覚を知る意味はあります。
ただ、アンケートの取り方によっては少し整理が難しくなります。
たとえば、完全に自由に
「好きな色を選んでください」
とすると、理事会としてはまとめにくくなることがあります。
それよりは、
今の印象を残す方向か
少し明るくする方向か
落ち着いた方向か
といった考え方の軸を示した上で意見を聞く方が整理しやすいです。
住民説明では「なぜこの色にしたのか」が大事
色決めは、理事会の中で納得していても、住民説明で
「なぜこの色なのですか」
と聞かれることがあります。
そのときに、
なんとなく無難だったから
理事会で人気があったから
では、少し弱いです。
今の建物イメージを大きく変えないことを重視した。
汚れの目立ちにくさを見た。
周辺環境とのなじみを考えた。
共用部が暗くならないようにした。
こうした説明ができると、住民の皆さんも受け止めやすくなります。
色決めは早すぎても、遅すぎても進めにくい
色決めは、工事全体の中では少し後半に見えるテーマです。
ただ、あまり遅くなると住民説明の準備がしにくくなります。
一方で、早すぎる段階だと工事範囲や仕上げ材の考え方がまだ固まっておらず、整理しにくいことがあります。
そのため、理事会としては
工事範囲や基本方針がある程度見えてきた段階で、色の考え方も少しずつ整理し始める
くらいが進めやすいです。
よくある質問(Q&A)
大規模修繕の色は今と同じが無難ですか?
無難ではありますが、必ずしも一番簡単とは限りません。
今の見え方は汚れや退色も含んでいることがあるため、仕上がりは少し印象が変わることがあります。
色決めは理事会だけで決めてもいいですか?
理事会で方針を整理することは大切です。
ただ、住民説明や場合によってはアンケートなども含めて、受け止めやすい進め方を考える方が安心です。
色決めで一番大事なのは何ですか?
好き嫌いだけでなく、今の建物イメージとの連続性、汚れの目立ちにくさ、周辺環境とのなじみ、住民の受け止めやすさを一緒に見ることです。
まとめ
大規模修繕の色決めは、見た目の話に見えて、実際にはかなり管理組合らしいテーマです。
正解が一つではない分、好みだけで決めるとまとまりにくくなります。
だからこそ、理事会では
今の印象をどこまで残したいか
汚れの目立ちにくさをどう見るか
周辺環境となじむか
住民が受け止めやすいか
といった軸を持って整理した方が進めやすいです。
色は工事後に一番目に見える変化です。
そのため、工事の中身だけでなく、住民の納得感や満足感にもかなり関わります。
だからこそ、最後に急いで決めるのではなく、少しずつ考え方をそろえながら進めることが大切です。
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