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長期修繕計画の作り方|管理組合が最初に知っておきたい基本の流れ
こんにちは、MRCの平松です。
管理組合の方とお話ししていると、長期修繕計画について
「見直しは必要だとわかったけれど、そもそもどうやって作るのかがよくわからない」
という声をいただくことがあります。
たしかに、長期修繕計画は日常的になじみのあるものではありませんし、専門的な内容も多いため、最初は少し難しく感じるかもしれません。
ただ、実際には、何か特別なことをするというより、マンションの状態やこれまでの履歴、今後必要になりそうな工事を順番に整理していくことが基本になります。
大切なのは、形だけ計画を作ることではなく、管理組合にとって「これから先のことを考えやすい資料」にすることです。
今回は、長期修繕計画をどのような流れで考えていくのか、管理組合として最初に知っておきたい基本の流れを、できるだけわかりやすくお伝えします。
長期修繕計画は、将来の見通しを整理するためのもの
長期修繕計画というと、難しい表や数字が並んでいる資料という印象を持たれることもあります。
もちろん、時期や金額の整理は大切なのですが、本来の目的はそこだけではありません。
長期修繕計画は、これから先のマンションの維持管理を考えるために、
「どの部分に、いつ頃、どんな修繕や更新が必要になりそうか」
を整理していくためのものです。
そのうえで、必要な工事に対して、資金面がどうなっているかもあわせて見ていきます。
つまり、工事の予定表というより、将来の維持管理とお金の見通しを一緒に考えるための資料だと思っていただくとわかりやすいと思います。
まずは建物の基本情報を整理することから始まる
長期修繕計画を考えるとき、最初に必要になるのは、マンションの基本情報です。
たとえば、
- 築年数
- 建物の規模
- 構造
- 設備の内容
- 過去に行った修繕や更新の履歴
こうした情報が、今後の計画を考える土台になります。
同じマンションでも、規模や設備、これまでの修繕履歴によって必要な工事の内容は変わってきます。
ですので、一般的な年数だけを見て考えるのではなく、そのマンションがどのような状態にあるのかを整理することが大切です。
特に過去の工事履歴はとても重要です。
以前に外壁補修をしているのか、防水をどこまで更新しているのか、設備はいつ入れ替えているのかによって、今後の見通しはかなり変わってきます。
次に、建物の今の状態を把握
基本情報が整理できたら、次は建物の現状を見ていきます。
長期修繕計画は将来のための資料ですが、今の状態がわからないままでは現実に合った計画にはなりません。
たとえば、計画上はまだ先の工事になっていても、実際には劣化が進んでいることがあります。
反対に、想定より状態がよく、時期の考え方を見直せる場合もあります。
そのため、必要に応じて建物調査や診断の結果も踏まえながら、今どこにどのような課題があるのかを把握していきます。
ここで大切なのは、見た目の印象だけで判断しないことです。
外壁や防水、鉄部などはもちろんですが、設備についても表面だけではわからないことがあります。
実際の状態を確認したうえで考えることで、計画の精度が上がります。
将来必要になりそうな工事項目を洗い出す
建物の情報と現状が見えてきたら、今度は将来必要になる工事項目を整理していきます。
ここで考えるのは、外壁や屋上防水、シーリング、鉄部塗装などの建築的な修繕だけではありません。
給排水設備、電気設備、機械設備など、設備関係の更新も含めて考える必要があります。
マンション管理では、どうしても見た目にわかりやすい外回りに意識が向きやすいのですが、実際には設備の更新も大きなテーマになります。
築年数が進んでくると、配管やポンプ、各種設備の更新時期が現実的な課題になることも少なくありません。
この段階では、
「将来どんな工事が必要になりそうか」
をできるだけ整理しておくことが大切です。
工事の時期を考える
必要な工事項目が見えてきたら、それぞれをいつ頃実施するのかを考えていきます。
ただし、ここで大切なのは、機械的に年数だけで決めないことです。
たとえば、一般的に何年ごとといわれる工事でも、実際の劣化状況や前回の修繕履歴によって考え方は変わることがあります。
長期修繕計画では、一定の周期を参考にしながらも、そのマンションの実情に合わせて時期を整理していくことが大切です。
また、工事のタイミングは単独で考えるだけでなく、関連する工事との関係も見ながら整理する必要があります。
一緒に行った方が効率のよい工事もあれば、先に検討しておいた方がよいものもあります。
このあたりは、建物の状況や今後の進め方を見ながら、無理のない流れにしていくことが大切です。
費用の見込みを整理する
工事内容と時期が見えてきたら、次は費用の見込みを整理していきます。
長期修繕計画では、ここがとても大切です。
将来どのくらいの工事が必要になるのか、そのためにどのくらいの資金が必要になりそうかが見えてこないと、修繕積立金の考え方も整理しにくくなるからです。
ただ、費用はあくまでその時点での見込みです。
将来の工事費を完全に正確に当てることはできません。
それでも、おおよその考え方を持っておくことで、管理組合として準備がしやすくなります。
ここで気をつけたいのは、古い相場感のままで考えないことです。
以前に作った計画や過去の感覚だけで見てしまうと、今の実情と合わないことがあります。
費用の見込みは、できるだけ現実に合った考え方で整理することが大切です。
修繕積立金とのバランスを確認
長期修繕計画を作るうえで、最後にとても重要になるのが、修繕積立金とのバランスです。
将来必要になる工事とその費用が見えてきたら、今の修繕積立金の水準でそれに対応できそうかを見ていきます。
もし将来的に不足が見えているのであれば、その段階で方向性を考えておく必要があります。
ここで大切なのは、足りるか足りないかだけを見ることではありません。
今後の工事内容や時期の整理、積立水準の考え方、住民への説明の必要性なども含めて、管理組合としてどう向き合うかを考えることです。
長期修繕計画は、作って終わりの資料ではなく、管理組合が将来の判断をしやすくするためのものです。
その意味では、修繕積立金との関係まで見ておくことがとても重要です。
形だけ整えないことが大切
長期修繕計画を作るときに、意外と大切なのがここだと思っています。
表がきれいにまとまっていて、項目や金額が並んでいれば、それだけで何となく整って見えることがあります。
ただ、実際にはその内容が今の建物に合っていなかったり、管理組合にとってわかりにくかったりすると、資料として十分に活かされません。
私が管理組合の方からご相談を受ける中でも、
「計画はあるけれど、理事会の中であまり使われていない」
「数字は並んでいるけれど、どう読めばよいのかわからない」
という声は少なくありません。
長期修繕計画は、見た目を整えることよりも、管理組合にとって意味のある資料になっているかが大切です。
理事会で確認しやすく、将来の判断や住民説明に使いやすいことが重要だと思います。
よくあるご相談
ここで、長期修繕計画の作り方について、よくあるご相談をいくつかご紹介します。
まず何から始めればよいですか
最初は、建物の基本情報と過去の修繕履歴を整理するところから始めるのがよいと思います。
そこが見えてくると、今後必要な工事や課題も整理しやすくなります。
今ある長期修繕計画をもとに作り直すことはできますか
できます。
すでにある計画がある場合は、それを土台にしながら、今の建物の状態や最近の工事費、設備の状況を踏まえて見直していく形が多いです。
理事会だけで考えるのは難しいですか
長期修繕計画は、建物の状態や工事費の見方など、専門的な内容も含まれるため、理事会だけで整理するのが難しい場面はあると思います。
ただ、専門家に任せきりにするのではなく、管理組合として内容の意味がわかるように進めていくことが大切です。
まとめ
長期修繕計画は、将来必要になる修繕や更新を見通し、マンションの維持管理と資金計画を考えるための大切な資料です。
作るときの基本的な流れとしては、
建物の基本情報を整理し、今の状態を把握し、必要な工事項目を洗い出し、時期と費用を考え、修繕積立金とのバランスを確認していくことになります。
一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、やっていることはとても基本的です。
「このマンションで、これから先どんなことが必要になりそうか」
を順番に整理していく作業だと考えると、少しわかりやすいかもしれません。
大切なのは、形だけ整えた資料にするのではなく、管理組合にとって本当に使いやすい長期修繕計画にすることです。
将来の理事会や住民説明にもつながるものとして、わかりやすく整理しておくことが大切です。
MRCでは長期修繕計画のプラットフォーム『リノプラ』を提供しています。
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