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住民説明で修繕情報が伝わりにくい理由とは?管理組合で整理しておきたいこと
こんにちは。MRCの平松です。
管理組合の方とお話ししていると、理事会の中ではある程度整理できているのに、住民説明になると急に話が難しくなる、ということがあります。
たとえば理事会では、
「今回の工事範囲はここまで」
「前回工事との違いはここ」
「積立金との関係はこう見る」
と、ある程度頭の中でつながっている。
でも、それを住民の皆さんに説明しようとすると、急に言葉が足りなくなることがあります。
それは、理事会の説明が下手だから、という話ではありません。
どちらかというと、理事会の中で共有されている前提が、住民説明では共有されていない ことの方が大きいです。
理事会では数か月かけて少しずつ整理してきたことでも、住民の皆さんから見れば、その日初めて聞く話かもしれません。
そう考えると、伝わりにくさが出るのはある意味自然です。
ただ、その“自然に起きるズレ”を放っておくと、住民説明はどうしても重たくなります。
資料を増やしても、説明時間を長くしても、なぜか伝わらない。そんな空気になりやすいです。
今回は、住民説明で修繕情報が伝わりにくくなる理由と、管理組合としてどこを整理しておくと話が届きやすくなるのかを、少し丁寧にまとめてみたいと思います。
理事会で分かっていることは、住民には見えていない
まずここが出発点だと思います。
理事会では、何度か会議を重ねる中で、
・建物の状態
・前回工事の履歴
・長期修繕計画の位置づけ
・見積比較の考え方
・資金の見通し
を少しずつ共有していきます。
ところが住民説明の場では、その積み重ねがありません。
住民の皆さんは、理事会で何度も出てきた言葉でも、そこで初めて聞くことがあります。
つまり、理事会では「もう分かっているつもり」の話が、住民からすると「急に出てきた難しい話」になるわけです。
このズレに気づかないまま説明を始めると、どうしても伝わりにくくなります。
説明が伝わらないのは、内容より順番のことが多い
住民説明でよくあるのは、言っていること自体は間違っていないのに、なぜか相手に入っていかないという場面です。
こういうときは、内容が悪いというより、話す順番 に原因があることが少なくありません。
たとえば、いきなり
「今回は外壁補修と防水更新に加え、共用部の設備改修も検討しています」
「将来収支の見通しを踏まえると積立金の水準も確認が必要です」
と言われても、住民の皆さんは少し置いていかれやすいです。
なぜなら、その前に知りたいのは
「そもそも今どんな状態なのか」
「なぜ今この話が出ているのか」
「前回との違いは何なのか」
だからです。
人は、頭から難しい情報を渡されると身構えます。
でも、状況の流れが見えてから細かい話に入ると、かなり受け止めやすくなります。
住民説明で必要なのは、正しい情報をたくさん並べることより、相手の頭の中に順番どおりに景色をつくること かもしれません。
住民が知りたいのは“工事の説明”だけではない
理事会の中では、工事項目や見積比較、長期修繕計画の整合性などが中心になります。
もちろん、そこは大事です。
ただ、住民の皆さんが気にしているのは、それだけではありません。
実際には、
「なぜ今なのか」
「前回と何が違うのか」
「お金はどうなるのか」
「暮らしへの影響はどのくらいあるのか」
「理事会はどういう考え方でここまで来たのか」
このあたりがかなり大きいです。
つまり、住民説明では“工事の中身”だけを伝えても、半分くらいしか届いていないことがあります。
住民の皆さんは、工事の専門的な説明を聞きたいというより、自分たちの生活とお金にどう関わるのか を知りたいのだと思います。
ここを外してしまうと、理事会としては丁寧に説明したつもりでも、住民の側には
「話は長かったけれど、結局自分にどう関係するのかがよく分からなかった」
という印象が残りやすくなります。
数字だけでは納得しにくい
住民説明で難しいテーマの一つが、お金です。
工事費、修繕積立金、将来収支。
どれも避けて通れません。
ただ、数字は正しくても、数字だけではなかなか納得につながりません。
たとえば表を見せて
「この年にこれだけの支出を見込んでいます」
「このままだと残高はこう推移します」
と説明しても、住民の皆さんからすると、数字の意味が頭に入りにくいことがあります。
それは理解力の問題ではなく、数字が“背景”とつながっていないからです。
住民の皆さんが知りたいのは、表そのものより、
「なぜこの年に大きな支出が出るのか」
「前回工事や今の建物状態とどうつながるのか」
「このままだと何が起きそうなのか」
ということです。
数字には必ず理由があります。
そこが見えないと、表だけ見せられても気持ちが追いつかないのは当然だと思います。
前回とのつながりが見えないと不安が大きくなる
住民説明でかなり大きいのが、前回工事との関係です。
住民の皆さんの中には、
「前回も似たような工事をしていたのでは」
「そのときはどういう説明だったのか」
「なぜまた今回この項目が出てくるのか」
と感じる方がいます。
これはかなり自然な感覚です。
修繕工事は日常的に体験するものではないので、今の話だけ聞くより、前回とのつながりの中で理解したいのだと思います。
そのため住民説明では、今の工事内容だけを話すより、
・前回どこまで対応したのか
・その後どういう経過だったのか
・今回なぜこの論点が出てきているのか
を見せた方が、ぐっと伝わりやすくなります。
過去と今がつながると、住民の皆さんも話の位置づけをつかみやすくなります。
資料が多いほど伝わるとは限らない
住民説明で不安になると、つい資料を増やしたくなります。
写真も入れる。
表も増やす。
参考資料も添える。
そうやって「情報不足にならないように」と考えるのは自然です。
ただ、実際には資料が多いほど伝わるとは限りません。
むしろ、情報が増えるほど住民の皆さんは
「どこを見ればいいのか」
「何が一番大事なのか」
「この資料は何のためにあるのか」
が分からなくなりやすいです。
住民説明で必要なのは、情報量の多さより、読み手の視線が迷わないこと です。
そのためには、
・まず何を伝えるのか
・次に何を見せるのか
・最後に何を理解してもらいたいのか
が整理されている必要があります。
資料を厚くすることより、流れを細くまっすぐにすることの方が、実際にはずっと効果があります。
写真や図があると、説明の温度が変わる
住民説明で大きな差が出やすいのが、写真や図の使い方です。
文字だけで
「劣化が進んでいます」
「補修が必要です」
と言われても、住民の皆さんはなかなか実感しづらいです。
でも、
「この場所にこういう傷みがあります」
「前回はここまで対応していて、今回はこの範囲が課題です」
と写真や図で見えると、一気に話が現実味を持ちます。
これは単に分かりやすくなるというだけではありません。
理事会がきちんと見ていることが伝わる という意味でもかなり大きいです。
住民説明では、数字や文章の正しさだけではなく、理事会がどれだけ実際の状況を見ながら考えているかが伝わることも、安心感につながります。
住民説明で必要なのは“結論”より“納得の流れ”
理事会の中では、結論を整理することが大切です。
何を工事するのか。
どの会社を選ぶのか。
資金をどう見るのか。
そこをはっきりさせる必要があります。
ただ、住民説明では、結論だけを伝えても納得につながりにくいことがあります。
住民の皆さんが受け止めやすいのは、
・今どんな状態なのか
・前回からどうつながっているのか
・理事会では何を比べたのか
・なぜ今回この方向になったのか
という流れです。
この流れが見えると、結論そのものにも納得しやすくなります。
反対に、結論だけが先に来ると、どうしても
「もう決まっていた話を聞かされている感じ」
が出やすいです。
住民説明では、正解を示すことより、そこに至る道筋を共有すること の方が大事な場面があります。
理事会の中で説明の練習をしておくとかなり違う
住民説明の準備でおすすめしたいのは、理事会の中で一度
「この話、住民の皆さんにどう伝えるか」
を確認してみることです。
そうすると、
・専門用語が多すぎる
・前提を飛ばしている
・数字の理由が抜けている
・写真や図が足りない
・逆に情報が多すぎる
といったことが見えやすくなります。
理事会の中で
「これは分かりにくいかもしれない」
と感じるところは、住民説明でもかなり引っかかりやすいです。
逆に、理事会の中で
「この順なら入りやすい」
という感触があると、住民説明もかなり組み立てやすくなります。
住民説明で伝わりやすくするには、情報を“つなげて見せる”こと
結局のところ、住民説明で修繕情報が伝わりにくいのは、情報が足りないからというより、つながって見えていないから だと思います。
・建物の状態
・前回工事
・長期修繕計画
・資金の流れ
・今回の判断理由
これが一つずつバラバラに出てくると、住民の皆さんは頭の中で整理しなければいけません。
それはかなり大変です。
でも、つながりが見えると、話の理解がかなり進みます。
だからこそ、住民説明の準備は資料を足すことより、情報の関係を見える形にすることの方が大きいのだと思います。
よくある質問(Q&A)
住民説明で一番伝わりにくいのは何ですか?
工事の専門用語そのものより、なぜ今その話になっているのかという背景が見えないことの方が伝わりにくくなりやすいです。
資料を増やせば伝わりやすくなりますか?
必ずしもそうではありません。
情報が多いほど、どこを見ればいいのか分かりにくくなることもあります。
必要なのは量より流れです。
住民説明をしやすくするには何を整理すればいいですか?
今の建物状態、前回とのつながり、今回の論点、資金の考え方。この4つがつながって見えるだけでも、かなり話しやすくなります。
まとめ
住民説明で修繕情報が伝わりにくくなるのは、内容が悪いからではなく、理事会の中で共有されている前提が、住民の皆さんには見えていないことが大きいです。
そのため、工事項目や数字をそのまま並べるだけでは、どうしても説明が重たくなります。
今の建物状態、前回とのつながり、今回の論点、資金の流れ。こうした情報がつながって見えると、住民の皆さんも話を追いやすくなります。
住民説明では、正しいことをたくさん言うことより、相手が納得できる順番で伝えることの方が意味があります。
そこが整うだけで、説明の理解度はかなり変わってきます。
MRCでは長期修繕計画のプラットフォーム『リノプラ』を提供しています。
建物を3Dモデリングし、一級建築士事務所が長期修繕計画を策定した上で、維持管理を伴走する仕組みですので、お悩みの管理組合様はぜひご検討ください。
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