大規模修繕工事

大規模修繕工事は必要?修繕しないことのリスクや修繕目安時期を解説

こんにちは、MRCの平松です。

マンションの大規模修繕工事は慣例的に10〜15年周期で行われることが多いですが、「そもそもここまで大掛かりな工事は必要なのだろうか?」と疑問を持つ方もいらっしゃいます。

マンションの大規模修繕工事は住民の安全性を担保するのにはもちろん、資産価値の維持などの観点でも重要です。

しかし、「なぜ必要なのか?」という理由を知らなければ管理会社に提案されるがまま、不要な箇所まで大規模修繕工事をしてしまうということも。

 

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この記事は以下のような方におすすめ
大規模修繕工事の必要性について詳しく知りたい
大規模修繕工事の周期を部位別で知りたい
大規模修繕工事を行わないリスクを知りたい

本記事では「なぜ大規模修繕工事が必要なのか?」という疑問から、修繕をしないことのリスクやマンションの部位別で修繕が必要となる周期の目安などについても解説をします。

大規模修繕工事とは

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そもそも大規模修繕工事とは、どのような工事を指すのでしょうか。簡単に言い表すと「マンション建築当時の建物機能にまで回復させる工事」のことを指します。経年劣化や災害などによる損傷などを修繕し、新築当時の状態にまで戻すことを修繕工事と呼び、建物全体にも及ぶ大掛かりな工事を「大規模」と規定します。

また、よく似た工事に「改修工事」があります。これは、建物の機能をグレードアップさせる工事を指します。例えば、エレベーターやバリアフリー設備の設置、立体駐車場の増設など、これまでマンションになかった機能を追加する工事のことです。

時代によって建物に求められる機能は変わります。このため、修繕工事で機能の維持・回復を図るとともに、新たな機能を追加する必要も出てくるでしょう。

大規模修繕工事が必要な理由

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マンション管理会社の多くは「大規模修繕工事は行うもの」との前提で、理事会や管理組合へ提案をします。もちろん修繕工事は建物にとって必要不可欠ではありますが、「なぜ必要なのか」という見地に立たなければ、必要以上に早い周期で施工を実施してしまい、予算を無駄に消化してしまう可能性もあります。

ここでは、大規模修繕工事が必要な理由を改めて確認し、マンションの実態を見ながら「本当に必要なタイミングで修繕が行えるようになること」を目標に解説を進めていきます。

安全性の確保

第一に、マンション住民や周辺に対する安全性の確保が挙げられます。

今やマンションのほとんどは鉄筋コンクリートで造られているため、耐久性は昔よりも向上しています。しかし、風雨・太陽光などによる経年劣化や災害による損傷は避けることができません。

建物が痛んでいる状態で放置をすると、外壁・タイルの落下や崩壊など住民・周辺地域へ危害をもたらす恐れが生じます。このような状態の建物を放置することは、安全性を阻害していると言っても過言ではありません。

なお「建築基準法第12条」において、竣工、外壁改修等の後10年を超えた建物に対して外壁の全面打診調査が義務付けられています。法的な義務づけがあるから行うという意識ではなく、この法律が施行された背景を想像し、竣工・改修10年後には外壁を調査しなければ安全性が脅かされるのだと考える必要があります。

また、「民法717条」においては外壁落下により歩行者などに危害を加えた場合、建物の占有者が損害を賠償する必要がある「工作物責任」が規定されています。

このように法的な観点からも安全性の確保は義務付けられているということを知っておきましょう。

資産価値の維持

マンションの資産価値というと、どうしても市場の流通価格を想像しがちです。しかし先述の通り、大規模修繕工事は「新築時点の機能回復」と規定していますので、流通価格的な観点での価値向上はそこまで大きく期待することはできません。

しかし、大規模修繕工事では金銭で評価できない価値、つまり生活上の安心感・快適感を包含するマンションの資産価値を維持・向上させることができるのです。

外壁タイルが浮いていたり、コンクリートがひび割れていたりする状態を放置すると、外観が悪いですし、雨漏りや錆の発生にもつながります。このような状態では安心して暮らすことはできませんし、当然快適性などありません。

「当たり前の生活を当たり前のようにできるようにする」点に大規模修繕工事の価値があります。

また、適切な周期でマンションの大規模修繕工事を行うことで建物の寿命自体も飛躍します。建物が末長く健全な状態であれば、資産価値の維持にも繋がります。

このような点からも、大規模修繕工事はマンションにとって必要であると言えるのです。

改修工事の同時施工による価値向上

大規模修繕工事と同時に、改修工事を行うというケースも少なくありません。改修工事ではマンションの建物機能を向上させることができますので、建物の価値向上に直結します。

例えば、現代の日本は超高齢化社会と言われており、単独生活を送る高齢者も増加しています。

このため、マンションのバリアフリー化は今や欠かせない要素となってきました。具体的には以下のような機能追加が挙げられます。

  • 公道から敷地内までのスロープ化
  • 通路における点字ブロック設置
  • 入り口の自動ドア化
  • 階段や通路への手すり設置

バリアフリー化以外にも、以下のような改修工事が人気です。

  • 耐震改修工事:東日本大震災以来、耐震性が注目されています。
  • 防水改修工事:雨漏り・浸水が建物を大きく劣化させます。
  • 宅配ロッカー設置:通販利用者が増えているので需要増加中。
  • 自動ロック機能:防犯性の向上は安全性にも繋がります。

大規模修繕工事をしないことで起こるトラブル

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ここまで大規模修繕工事の必要性について解説をしました。安全性の確保や資産価値の維持は建物の住民・所有者にとっても非常に重要な要素であることに違いはありません。では、もしも大規模修繕工事をしなかったらどのようなリスクがあるのでしょうか?

本項では、大規模修繕工事をしないことで起こりうるトラブルについて詳しく見ていくことにします。

外壁の崩壊

修繕工事をしないことで最も起こりうるトラブルは外壁の崩壊です。先述の「建築基準法第12条」における外壁全面打診調査は平成20年に改定されて義務付けられたわけですが、その背景には外壁タイルの落下事故多発というトラブルがあったのです。

  • 1989年:高層マンション最上階からタイルが落下し2人が死亡(福岡)
  • 2003年:マンション5階から60センチ四方のタイルが落下。幸いにもけが人なし(新潟)
  • 2005年:ビルの外壁が崩壊し、歩行者の女性が重症(東京)
  • 2013年:ビル2階から外壁が剥がれ歩道に落下。幸いにもけが人なし(新潟)

このように外壁の崩壊事故だけを見ても、ここ30年で10件以上発生しています。大規模修繕工事をしないと死亡者が出る可能性もあり、法的に義務付けられたというわけです。

雨漏り・浸水

雨漏りや浸水被害が発生しているにもかかわらず、修繕をせずに放置をすると様々なリスクが発生します。

例えば、雨漏りでは天井材や壁材にカビ・ダニが発生する恐れがあります。これらが発生すると、健康被害が生じる可能性があるのです。また、水害により構造材が腐食すると建物の一部が崩壊するリスクもあります。これは木造・鉄骨造に限らず起こりうるトラブルです。

他にも漏電による火災、耐震構造の脆弱化など、見えない部分で大きなリスクを抱えることになります。

大規模修繕工事の周期 部位別目安

ここまで大規模修繕工事を行わないことによるリスク・トラブルを解説しました。修繕の必要性とともに、工事を行わないことがいかに危険であるかをご理解いただけると幸いです。

最後に、大規模修繕工事の周期目安を部位別にご紹介していきます。ただし、下表は平均的な修繕目安ですので、お住まいの建物実態と必ずしもそぐわない可能性がございます。

この点は建築士が提供するコンサルティングサービスや管理会社などで密に相談し、適切に修繕の時期を計画することをおすすめします。

修繕工事対象目安時期詳細
鉄骨部の塗装築5~8年鉄骨部の錆など、経年劣化に注意が必要な時期です。建物点検が行われた場合、報告書を確認して修繕工事計画を立てることをおすすめします。
屋根・屋上、給排水ポンプの機能築10年屋根や屋上の防水機能や給排水ポンプの機能などを確認しましょう。また竣工10年後は全面打診調査の時期でもあるので、建物全体の状況を確認しましょう。大規模修繕工事を行うため、理事会の中から修繕委員会を立ち上げる時期です。
バルコニー・エントランス・インターホン、電灯設備、消火栓、階段など築11〜15年竣工10年が過ぎると初回の大規模修繕工事が行われる推奨時期となります。大規模修繕工事は費用がかかりますが、この時期に行うことで安全性の確保・資産価値の維持に効果的につなげられます。同時に長期修繕計画の見直しも実施しましょう。
火災感知器、立体駐車場の機能築16〜20年火災感知器、立体駐車場の機能を確認し、修繕を行う時期です。設備点検を受け、報告書を確認しましょう。また、他の部位に対しても劣化が見られる場合には修繕が必要です。
電灯設備、バルコニー、エントランス、インターホン、消火栓、階段など築21〜25年大規模修繕工事の2回目が行われる時期です。この際にも長期修繕計画の見直しが必要です。
エレベーター築26〜30年エレベーターなどの設備を点検・修繕する時期です。設備点検報告書を確認し、実施しましょう。
電灯設備、バルコニー、エントランス、インターホン、消火栓、階段など築31〜40年大規模修繕工事の2回目が行われる時期です。この際にも長期修繕計画の見直しが必要です。

コンサルティングで大規模修繕工事の必要性を確認しよう

本記事では大規模修繕工事の必要性とともに、修繕しないことのリスクを解説しました。住民や周辺への安全確保・資産価値の維持のためにもぜひ修繕を行っていきましょう。

一方、「修繕は12年周期だから」「管理会社・施工業者に提案されたから」と建物の実態に沿わずに修繕を行うのも望ましくありません。マンションの現状にそぐうよう、適切な時期を見極めて大規模修繕工事を計画したいものです。

弊社では、大規模修繕工事の必要性を見極めるコンサルティングサービスを提供しております。ぜひお気軽にご相談ください。

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