長期修繕計画書

長期修繕計画書の解説

こんにちは、MRCの平松です。

皆様のマンションには長期修繕計画書があり、定期的に見直しが行われていますか?

長期修繕計画書にはマンションの未来が描かれており、計画書が存在しない場合や、竣工した状態のまま放置している管理組合の皆様は注意が必要です。

長期修繕計画書について、知りたい方は本記事を参考にしてください。

 

大規模修繕工事・長期修繕計画策定等でお悩みの管理組合様はお気軽のお問い合わせください

 

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この記事は以下のような方におすすめ

  • 大規模修繕工事を検討しており、今後の修繕計画に不安がある
  • 長期修繕計画が竣工時から一度も見直しされていない
  • 管理会社が見直しをしているが不安

長期修繕計画書はマンションの生涯修繕費用を把握する上で非常に重要な指標です。

適切な修繕時期、修繕費用を反映させられているかどうかで修繕積立金の金額も変動し、売却時の資産価値にも大きく影響します。

マンション管理を考える上で長期修繕計画書は非常に重要な書類になりますが、建物や設備に精通し、適切に見直しを行える専門家はあまり多くありません。

中には知識が乏しく、管理組合が修繕周期の延長を要求すれば根拠なく、長い修繕周期を設定するような専門家もいる為、注意が必要です。

長期修繕計画書の解説

長期修繕計画書とは

長期修繕計画書の説明

長期修繕計画書とはマンションの維持管理を行う上で、必要と予想する修繕工事の項目や収支を記載した計画書です。

会計としては、管理費会計を対象としている訳ではなく、修繕積立金会計に関係する項目を対象としています。

項目は【仮設】【建物】【設備】【外構・その他】で構成されており、どのタイミングで更新や補修の必要性が発生し、いくら費用が必要で、修繕積立金の収支状況などが一目でわかります。

参考までに長期修繕計画書の作成率は【国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果】を参考にすると、昭和62年度に65.5%だったものが、平成30年度では90.9%に増加しています。

また、【計画期間25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定している割合】でも、平成15年度に19.7%であったものが、平成30年度に53.6%に増加しており、明確な根拠を持ったうえで修繕積立金の額を設定しているマンションがほとんどであることがわかります。

 

長期修繕計画書の構成

ほとんどの長期修繕計画書は、国土交通省が発表している【長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント】をベースに作成されています。

その構成例を以下に記載します。

  • マンションの建物・設備の概要等
  • 調査・診断の概要
  • 長期修繕計画の作成・修繕積立金の額の設定の考え方
  • 長期修繕計画
  • 修繕積立金の額の設定

それぞれ解説します。

 

  • マンションの建物・設備の概要等

マンションの概要を一覧として記入する部分です。

マンション名、敷地面積、住戸数、給排水設備や駐車場設備、分譲会社や施工会社名、管理区分、維持管理の状況、会計状況などを記載する項目になります。

 

  • 調査・診断の概要

基本的に長期修繕計画の作成や見直しを行う場合は、現地での調査診断が必要です。

理由は専門家が現地を確認した状況から、各種項目の修繕時期を予想する必要があるからです。

今回の様式では長期修繕計画書の項目に沿い、劣化の現象と原因及び修繕方法の概要が記載されます。

ただしこの部分は、設計事務所などに建物調査診断を依頼しており、建物調査診断報告書がある場合は代用することができます

  • 長期修繕計画の作成・修繕積立金の額の設定の考え方

【長期修繕計画の作成の考え方】や【修繕積立金の額の設定の考え方】が記載されます。

特に【長期修繕計画の作成の考え方】では、長期修繕計画の目的、計画の前提等、計画期間の設定、推定修繕工事項目の設定、修繕周期の設定、推定修繕工事費の算定、収支計画の検討、計画の見直しなど、長期修繕計画書の全体像を把握するために必要なコメントが記載されるため、非常に重要な部分になります。

  • 長期修繕計画

いわゆる計画表です。

以下に記載するいくつかの表から構成されています。

  1. 長期修繕計画総括表
  2. 収支計画グラフ
  3. 長期修繕計画表
  4. 推定修繕工事費内訳書

基本的にこの計画表に記載されている修繕費用と修繕積立金の収支を基に、毎月徴収する修繕積立金の金額を決定することになります。

管理会社が作成している長期修繕計画では、修繕工事の項目と金額のみを記載し、収支計画がわからない長期修繕計画書を作成することがあります。

このような長期修繕計画書では、長期的な視点から判断することが困難で、突然修繕積立金を値上げすることになったり、一時金を徴収することになります。

  • 修繕積立金の額の設定

長期修繕計画をもとに、修繕積立金の額を試算する項目になります。

長期修繕計画の見直しのみが目的あれば必要ない場合もあります。

 

長期修繕計画書作成や見直しのポイント

現状では、管理会社の管理委託業務の中に長期修繕計画の見直しが含まれていることがほとんどです。

この場合の長期修繕計画の見直しでは、前年度に支出した項目を反映しているにすぎず、精度が低い可能性もあるため、下記のポイントに注意して長期修繕計画を策定する必要があります。

  • 修繕周期の長期化
  • 適切な金額を反映させる
  • 建物調査結果に基づく修繕時期を設定する

 

修繕周期の長期化

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、目安の修繕時期が12年程度と記載されています。

それを受け、最近の10数年間は12年周期で大規模修繕工事を行うものとして、長期修繕計画に反映されているものがほとんどです。

最近は少し情勢に変化があり、塗装材や防水材、シーリング材の物性が向上しているため、12年の周期が延長傾向にあります。

これは大手デベロッパーや鉄道会社系の管理会社でも18年周期の大規模修繕工事を目標としていることから、全体として延長傾向にあります。

これらを踏まえ、塗装材や防水材の樹脂グレード、シーリング材の選定を長期修繕計画の見直し第階で設定することで長期化することをお勧めします。

50年間で考えると、12年周期の大規模修繕工事であれば4回実施し、15年周期であれば3回になり、1回あたりの工事が少し高額になったとしても、生涯の修繕費で考えると大きな出費の削減になります。

これらの判断を行うには、建物の現状を把握し、適切な修繕計画を立案することが可能な専門家に依頼する必要があります。

 

適切な金額を反映させる

長期修繕計画の作成や見直しを行う場合、現在の修繕費用に近い金額を算出出来ているかどうかが非常に重要なポイントになります。

大規模修繕工事の実施後に見直しを行うパターンでは、実際にかかった費用を建物部分に反映させるため、ある程度性格な費用を反映させることができます。

長期修繕計画は5年程度を目安に見直しを行うことが推奨されていますが、大規模修繕工事の実施タイミングと別に見直しを行うパターンでは現在の修繕費用に近い金額を把握した専門家が行うか否かで計上する費用が大きく変動します。

 

調査結果に基づく修繕時期を設定する

長期修繕計画の見直しを行う場合は、調査診断がです。

理由としては、建物の現状を見て、実際の修繕時期と範囲を想定し、長期修繕計画に反映させる必要があるからです。

 

まとめ

長期修繕計画書はマンションの未来を示している非常に重要な指標です。

お住まいを「次世代に住み継ぐ」ためには、現状に沿った長期修繕計画の策定が不可欠です。

一度ご相談ください。

大規模修繕工事・長期修繕計画策定等でお悩みの管理組合様はお気軽のお問い合わせください

 

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